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企業廃業の真実 5年後8割以上のスタートアップ企業が姿を消すというウソ

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日本では、既存企業数に対する起業の割合を示す「開業率」が現在5%程度と言われています。欧米諸国は10%であり、日本はその半分程度です。しかし、欧米諸国と日本ではその後の生存率に違いがあります。いったい、スタートアップ企業が創業後に実際どの程度が廃業になっているのでしょうか。

企業が廃業するということ

そもそも企業が廃業するというのはどういうことなのでしょうか。会社が、「従業員に給料が払えない」、「下請け業社に支払いができない」、「金融機関の借入の返済ができない」、「税金を納めることができない」といった事態に陥り、資金がショートした状態になれば、会社は倒産し、廃業ということになります。金融機関からの融資や、顧客からの入金が潤っているうちは健全な経営がなされているということになりますが、ほとんどの廃業はカネの入りが悪くなり、資金が底を尽くことによって起こります。

廃業してしまう理由

創業まもない企業によくある、廃業のパターンを見ていきましょう。まずは「適当に作った事業計画」が理由の場合です。勢いに任せて、またはどうせ予測だし後から変更すればいいや、といった軽い気持ちで作られた事業計画では、後々自分を苦しめることになります。しっかりとした事業計画を立てていれば、予測できた問題、避けられた失敗というのもあります。極端な例ですが、「いいものを安く提供したい」からといって、仕入れ値と売値のバランスが悪く、売上があっても利益がないというのでは、会社は潰れてしまいます。「あ~すれば良かった」、「なんでこんなことをしたんだろう」と廃業してから後悔しても遅いのです。

軸となる事業の収支バランス、事業展開予定を考え、効率良く稼げる仕組みをいかに事業計画の中に落とし込めるか、そこが何よりも重要です。事業を行いながらの微調整なら、事業をより良くするためには行うべきですが、根本的な事業変更となれば、会社の体力を消耗し廃業への道を進んでいくことになりかねません。

その次のパターンは、「資金の使いすぎ」です。収支も安定していないのに一等地にオフィスを構えたり、内装にお金をかけてしまったり、次から次に人を採用したりというのもそうです。特に固定費には注意することが必要です。固定費が膨らめば、少し事業が不調になっただけでも、かなりの重みになってしまいます。賃貸料や人件費は削りたくても簡単に削減できるものではありません。これも事業計画が立てられており、しっかりとした収支バランスが取られていれば起こらない問題だと思いますが、身の丈にあった企業運営を考えることが重要です。

最後に「時代は変わる、ブーム・流行りは必ず去る」ということです。これはひとつの会社でどうこうできるようなことではありませんが、時代の流れ、ブームに飲まれることは恐ろしいものです。例えば、駅の改札では昔、駅員が改札に立って切符を1枚1枚切っていました。自動改札が普及し、磁気定期券が出たかと思えば、今はもうICカード式に変わっています。モバイル通信機器もショルダーフォン、自動車電話などが誕生してから、ポケットベル、PHS、ガラケー、スマートフォンへと、もの凄い勢いで変わっていきました。時代の変化は年々早くなっているように感じます。その時代、社会に必要とされていたものでも、次の時代へと変わってしまったら、事業としてはもう成り立たないことは簡単に理解することができるでしょう。

またブームや流行りも同様に盛り上がっている時はいいのですが、それは一瞬で、ブームが去った途端に見向きもされなくなってしまいます。画期的なアイデアでブームを起こしたとしても、ブームであれば長くは続きません。今の時代、ひとつのビジネスで10年、20年と続けるのは難しくなっているのかもしれません。

創業5年の企業生存率は15%!?

起業を目指す方ならこういった記事を見たことはないでしょうか。「国税庁の2005年に行った調査によれば、起業1年で60%、起業5年で85%が倒産。10年以上生存する企業は6%、20年以上生存する企業はわずか0.3%に過ぎない」。そもそもこのデータの出元である国税庁の2005年調査というもの自体が不明であり、信憑性は疑わしい限りです。

経済産業省の外局である中小企業庁がまとめた中小企業白書2017年版(図表1)によれば、1年後の生存率は約95.3%、5年後で約81.7%となっています。同白書の2011年版(図表2)では1年後の生存率は97%、5年後で82%であり、先述の国税庁2005年調査で言われている「5年で85%が倒産」という情報とはかなりの乖離があります。

ただ、この白書のデータは、対象企業が帝国データバンクに登録されている企業となっており、零細企業や個人事業主は含まれていません。そのため、零細企業や個人事業主を含めるともう少し企業生存率は下がるのではと思われます。

中小企業白書2017年版の起業後の企業生存率の国際比較の図です。日本は5年後には81.7%まで下がっています。
図表1 中小企業白書2017年版【出典:中小企業庁】
中小企業庁の企業生存率のグラフ。起業した10年後には3割の企業、20年後には5割の企業が廃業していることがわかります。
図表2 中小企業白書2011年版【出典:中小企業庁】

起業で失敗しないように

創業5年の企業生存率15%は真実ではなさそうではありますが、実際、廃業となる会社も存在することは確かです。その確率は決して楽観視できるほど低い数字ではないかと思います。他の企業が失敗した理由を紐解けば、なぜ失敗したのか、失敗しないようにするにはどうすれば良いのか、その対策も打てるのではないでしょうか。これから起業されようと考えている方にはぜひ入念な準備と綿密な事業計画を立てられ、事業が成功されることを祈るばかりです。

この記事を書いた人
戸部 知良
戸部 知良
フリーライター

1980年生まれ、フリーライター。経済、ビジネス、行政から生活情報までさまざまなジャンルで執筆を行う。インタビュー取材は年間50本以上、記事投稿数は年間200本以上。

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