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絶対揉めない共同経営!経験者が揉めるポイントと対策を徹底的にまとめます

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「夢は上場だ!」という気持ちで共同創業者・共同経営者と居酒屋で語り合う…というスタートから数年。顔も合わせたくなくなるくらい仲が悪くなり、最後には大げんかして仲違い…共同経営者との揉め事は珍しいことではありません。しかし、もちろんリスクやデメリットばかりではありません。役割分担ができる、同じビジョンを共有する仲間同士支えあっていける、などメリットもたくさんあります。強い絆で結ばれているからこその「共同創業・共同経営」を成功させるにはどうしたらいいのか、失敗しないための予防策、万が一トラブルになったときの対策、についてまとめていきます。

ビジネスで揉めるのは当然、共同経営も例外ではない

従業員とも取引先とも揉める

大げさでなく、起業というのは人生の一大事。まさに「命を懸けている」と表現されるようなチャレンジです。利害が一致していれば強く協力しあえますし、逆も然り。ビジネスは友達ごっこではないのです。従業員と労働条件や、退職後のやり取りで揉めることもありますし、納期を守らない外注先や、支払いを約束通りに行わない取引先と揉めることもあります。

つまり、ビジネスにおいては対象がだれであっても揉める可能性はあるのです。共同創業者、共同経営者も例外ではありません。むしろ、利害の一致度が強い分、ズレたときに揉める可能性は高いと認識しておいた方が良いでしょう。従業員であれば、経営者の方針とずれがあっても「揉めるのは面倒だし」と考えたり、「仕方ない、転職するしかないか」と考えてくれることもありますが、共同経営者はそうはいきません。

肉親とも、最愛の妻とも揉める

「共同経営者は、10代のころからの親友だから、揉めることなんてない!」なんてことが言えるでしょうか?最近肉親による事業においての揉め事と言えば大塚家具のお家騒動が有名ですが、実は肉親で事業を巡って揉めるケースは他にもたくさんあります。

例えば、セブンイレブン、富士通、大戸屋…などなど、世界に名を知られた企業でさえお家騒動を起こしているのです。あれだけの企業ですから、コーポレートガバナンスに対する意識は相当高いでしょうが、それでも経営者一族で揉めるのですから、業績が安定しないベンチャー企業で揉めるのは、むしろ自然だと言えるかもしれません。

ビジネスからは少し話がそれますが、相続なども家族間での揉め事になりやすいイベントです。家族で距離が近いからこそ、自分と差が付くことが許せない、という心理が働くのかもしれません。親と、兄弟と、妻と、事業をやる際、現在の良好な人間関係に頼って「揉めないはずだ」と考えるのは甘すぎるかもしれません。

家族との共同経営が失敗した場合、感情的なつながりが強いため、修復が更に難しい場合も
感情的な繋がりが強かった分、一度破たんすると修復は一層難しいかもしれません

揉める可能性があることと、そのポイントを共有しておく

ではどうすれば良いのでしょうか?揉める可能性があるから、共同創業、共同経営はやめたほうがよい、という話では決してありません。共同経営をして成功した事例は世界にも多数あり、そのメリットが大きいことは明らかです。

一方で、揉める可能性は自分たちにも十分あるんだということをまず認識する必要があります。そして、どういったタイミングで、どういったことが理由で揉めるのかを予め知っておきましょう。そして、それをパートナーと共有することが重要です。

何で揉める?共同経営で揉める点をまとめてみよう

まずはどんな点で揉めるかを知ることが大切です。何で揉めるのか予め知っておければ、対策が立てられるでしょう。ここでは、世界中の事例を基に、共同経営で揉めるポイントをまとめてみました。

持ち株比率、資本政策について知らない

共同創業する際、お互いの公平さを重視したくなる気持ちはわかります。結果として、2人だったら持ち株比率を50対50にしたり、序列をつける場合であっても51対49、66対34などにするケースがほとんどです。共同創業なのに、持ち株比率が90対10、というケースはほとんどないでしょう。

持ち株比率に関しては、もし上場(IPO)を目指すのであれば、とても慎重になる必要があります。その場合は、下記の「起業のファイナンス」は必読です。この本は、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けるスタートアップのCEOにとってのバイブルとして親しまれており、この本を読まず(理解せずに)はそもそも資本政策の話はほとんどできないでしょう。

IPOを目指す場合、共同創業者の持ち株比率は10%以下に抑えておいた方が良いでしょう。それは、「上場審査の際、ストックオプションは10%程度が上限」と言われていることからもわかります。社長がほとんどの株式を持っていない=会社の支配権が確立されていない、というコーポレートガバナンスは、会社としてリスク管理が適切にできていないと判断される可能性があります。

では上場を目指さない場合はどうでしょうか。この場合は、代表が51%を持っていればひとまず安心と言えます。できれば2/3超である、67%程度は持っておいた方が良いでしょう。

持ち株比率に関わらず株式の買取について決めておこう

共同経営者と揉めるとき、最も揉めやすいのが「俺はもう辞める!でも株は渡さないからな!(もしくは『高値で買い取れ!』)」という、持っている株をどう取り扱うのか、という問題です。辞める側は、ほとんどの場合不満を持っていますし、その原因は残る側である、あなたにあるとおそらく考えるでしょう。その際、会社の根幹を揺るがす「株」を人質的に使うのは当然と言えるかもしれません。しっかりと事前対応しておきましょう。

スタートアップの法律問題に(おそらく日本一)詳しいことで知られているAZX法律事務所は、創業メンバー株主間契約書のフォーマットを公開しています。また、ヤフージャパン系列のベンチャーキャピタルであるYJキャピタルのキャピタリストも、創業者株主間契約についての記事を書いておられます。

これはいずれもIPOを目指すスタートアップ向けのものなので、スタートアップの経営者にとって有益なのはもちろん、IPOを目指さないタイプの会社であっても応用することで十分に活用することができます。

契約書の拘束力は絶大です。経営者こそ、契約書を理解しておきましょう。
契約書は「社会的な大人の約束」であり、その拘束力は強力。契約を知ることも経営上大切な要素です。

会社を私物化しない!経理は透明性を持って運用しよう

次に揉めやすいのが、会社のお金の取り扱いです。会社のお金はビジネスの規模と比例して拡大していきます。忙しい経営者同士がそれぞれ領収書の細かい点までチェックするのは現実的ではないでしょう。ほとんどのケースで代表がそのあたりを担当し、共同経営者は営業やサービス開発などに注力しています。

会社のキャッシュフローはその規模の大きさだけでなく、「勘定合って銭足らず」と昔から言われているように、その独特のタイミングによって、体感値とずれることがあります。

こういった要因によって、共同経営者は「うちはもっと儲かっていて、お金があるはずだ。それが無いのは、社長が個人的な利益のために会社のお金を使っているからに違いない」と考えるようになります。そうすると、まっとうな交際費すらも疑わしく見えてしまいます。その「疑わしさ」は、社長が経費を不当に使っている事実から生まれたものというよりは、疑念、もやもやした気持ちから発生することがほとんどです。

会社のお金の取り扱いに対して疑惑が生まれると、あとはそれが雪だるま式に大きくなっていきます。「俺はこんなに頑張っているのに、あいつのほうが『美味しい思い』をしているに違いない!」となったら、もう関係は修復が難しいところまで来ているかもしれません。そうならないように、経理は透明性を持って共有することが重要です。どういった経費がなぜ、どの程度かかっているのかを、最低でも3か月に一度は説明しましょう。できれば、毎月試算表を作成し、それを役員間で共有するクセを付けておいた方が良いでしょう。

資金管理は社長の役割。会社の資金を私物化しないようにしましょう
資金管理は社長の重要な役割ですが、それを属人的なブラックボックス化しないように注意しましょう

ライフイベントが発生!会社にコミットできなくなったら…

続いて問題になりやすいのが「コミットメントの程度問題」です。つまり「俺はプライベートを犠牲にしてこんなに会社に尽くしているのに、社長は今日も家族サービスか!」というように、「俺のほうが頑張ってる症候群」になってしまうのです。

創業当初は誰もが熱い思いを持っていますからこういった問題は起こりませんし、これから会社を大きくして行こうと考えるあなたも「自分がそんな風になるはずはない」とお考えかもしれません。しかし、人生は何が起こるか分からないものなのです。結婚や離婚、出産、もしかすると身内の介護、さらには自分自身が交通事故に遭って…幸せなケースもそうでないケースもありますが、あなたの意志ではどうにもできない出来事によって、コミットの量を調整しなければいけないことは発生しうるのです。

筆者の周りでも、社長自身が記憶障害を起こしてしまったケース、社長のお父様が突然亡くなって実家の様々な整理に巻き込まれたケース、出産を機に奥さんが鬱、ヒステリーになってどうしても長時間働けなくなったケース、などなど、挙げればきりがありません。

まずは、そういったケースが発生する可能性があるということを認識した上で、コミットの量が減るときはしっかりと共同経営者とコミュニケーションを取ることが重要です。「自分はサボっているわけではない。楽をして搾取しようとしているわけでもない」ということをまずは理解してもらう必要があります。これは当然のようで、意外と皆さん抜け落ちるポイント。それが徐々に大きな亀裂となっていきますので十分注意しましょう。

会社と家庭の両立は難しいもの。どちらのケアも必要です。
会社も家庭も全力で取り組んでいても、双方から「怠けている」と責められてしまうかも…

即戦力の「パラシュートキャリア」にはご用心

即戦力人材が、まるでパラシュートで空から降りてくるようにいきなり高いポジションに就くことを「パラシュートキャリア」と呼ぶことがあるそうです。この「即戦力人材を急に重用する」ことは、ベンチャー企業では超あるあるであり、リスクも大きい。それはなぜでしょうか?考えてみましょう。

社長と共同経営者の成長速度の差

社長と共同経営者は、会社をスタートした当時こそ実力差はそんなになかったかもしれませんが、そこからの半年後、一年後には非常に大きく実力が開いていきます。これは、共同経営者が頑張っていないとか、実力がなかったとか、そういう問題ではありません。どんなに小さくても一つの会社の社長というものは、学ばなければいけないこと、会わなければいけない人がとても多く、しかも大変質が高い。そういった「機会」が圧倒的に違うのです。その機会の差が、すぐに力の差として現れてきます。社長は社外で、先輩経営者から様々なことを吸収し、魅力的な人たちとたくさん会います。そうして成長していった社長にとって、共同経営者は「色あせて見える」ことがあっても不思議ではありません。

ハイスペック人材との出会い

「まだ実績も顧客も全然ないけど、これから会社立ち上げる」という時期は、リスクでいっぱいです。なかなかスペックが高い人材を引き付けることは難しいでしょう。それが、半年、一年と会社経営を続けるうちに、徐々に収益基盤が安定してきて、従業員が増え、取引先も増え…となると、ハイスペック人材にとって、リスクとリターンのバランスが取れるようになっているかもしれません。そうなると、共同経営者よりも魅力的な人材があなたの会社を選んでくれることも十分に考えられます。

それでも我慢したい「即ポジション」

こういった理由によって、社長は社外から「即戦力ハイスペック人材」を連れて来て、いきなり役員にしたいとか、執行役からスタートではどうか、という話をし始めます。社内で実務に精を出していた共同経営者からしたら寝耳に水。到底納得できる話ではありませんし、心情的にはすごく不安になるでしょう。

社内調整以外にも、パラシュートキャリアを行わない方がいい理由はたくさんあります。一流の学歴を持ち、日本トップクラスの大企業で活躍している人材も、ベンチャー企業で活躍できるとは限らないからです(むしろ、活躍できないケースのほうが多いかもしれません)。魅力的な人材は「即幹部」ではなく、あくまでも「幹部候補採用」に留めておくべきでしょう。半年一年かけて成果を出せば社内も納得するでしょうし、そもそもそれだけの壁を越えてこれないような人材であれば幹部にするべきではありません。「即幹部なら転職するけど、幹部候補なら嫌です」という人材も、やはりあなたの会社にとってベストな人材ではないのです。

パートナーに辞めてもらいたい、と思った場合

共同経営者が「辞めてやる!」となる場合だけでなく、あなたのほうから「辞めてほしい」と思うこともあるでしょう。それは勤務態度だったり、パフォーマンスだったり、人柄だったり、要因は様々です。ともかく「辞めてほしい」と思ったとき、どうしたらよいのか考えてみましょう。

6~12か月かけて取り組む巨大プロジェクト

通常、従業員に辞めてほしいと思ったときでさえ、2~3か月かけて取り組みます。一方的に「明日から来なくていい」なんてことは日本では許されないのです。本人に対して期待を伝え、ネガティブな点を注意勧告し、その経過観察をし…というのを繰り返し、改善されなければ最終的に解雇ということになります(参考:従業員を円満に解雇する方法)。

共同経営者は多くの場合、従業員ではなく取締役でしょうから、そもそも雇用されているわけではなく、その立場も労働基準法などで強く守られているわけではありません。しかしここで問題なのは、法律的に問題になるかどうかではなく、共同経営者と揉めずに会社経営に注力できるかどうかです。

従業員が辞める場合も数か月かけて合意形成に取り組むのですから、熱い思いを持って、お互いの手と手を取り合って、夢に向かって第一歩を踏み出したパートナーに対しては、その何倍も時間をかけていくべきでしょう。まずは、なぜ辞めてほしいと思ったのかを整理し、それを改善していけるように働きかけることからスタートしましょう。それがダメなら次。あなたがどう感じているのかを直接伝えましょう。そのうえで、ともに改善していこう、という協調姿勢を示すことが重要です。

「方針の違い」で揉めるのは本当か?

音楽バンドなんかだと「音楽性の違い」という理由で解散するケースが散見されます。同じく会社経営においても「方針の違い」からトラブルになるものでしょうか?実はそんなに多くないというのが私の考え方です。その理由をご説明します。

「経営方針」はあなたが引っ張るもの

まず「方針の違い」として最もレベルが高いのが、「経営方針」です。つまりは会社のゴールがどういった状態になっていることかということで、これが会社の理念になったり、行動指針になったりすることでしょう。ここは代表が考えるべきで、共同経営者はあくまでもそこに「寄り添う」形になります。ここのギャップが大きいのであれば、そもそも創業前にもっと話し合っておくべきですし、経営方針で喧嘩になるような場合、共同経営者の想い、考えも非常に強いので、それぞれが別の会社経営をしていくのが正解です。

戦術、各論の方針は議論や情報の不足

経営方針は、意志や決断といった、属人的なもので、いわば「正解のない問題」です。一方で、広告運用どうするのか、人材採用どうするのか、といった問題は、情報を収集し、話し合うことで一定の答えを導くことが可能な問題です。もちろん「完全な正解」を導くことは不可能なので、最終的には代表が決めることになるかもしれませんし、代表が判断を部下に任せるケースがあるかもしれません。いずれにしても、こういったテーマは「共同経営の継続が困難」になるほどの内容にはならないことがほとんどです。(逆にこういったテーマで大きく揉める場合は、情報収集や議論のレベルが低いと考えるべきです)

方針の違いと決めつける前に、経営者間での話し合いができているか今一度確認しましょう
そもそも議論できていないことを「方針の違い」と捉えていませんか?

揉めないために事前共有、議論をしておく

いかがでしたか?揉める点は「株、会社のお金、コミット量の差、外部人材登用、パートナーの力不足」が多いようです。共同創業、共同経営で揉めないようにするためには、このことをあなたが知っているだけでは不十分です。共同経営者と共有し、自分たちのケースではどんなことが起こりうるのか、話し合いをすることが大事です。また、状況は常に変化しますから、四半期から半期に一度はじっくりと現状の整理をするための議論の時間を確保する必要もあるでしょう。こういった事前対策をしっかりと行っておけば、創業経営でも揉める可能性はぐっと低くなりますし、万が一揉めたときでも、会社への影響を最小限に抑えることができるでしょう。

この記事を書いた人
坂本正
坂本正
フリーランス

大学卒業後、中堅のIT企業で2年間サラリーマンを経験。その後独立起業してウェブ制作会社を立ち上げるも資金繰りに失敗し、一度クローズ。今はフリーランスとして活動する1990年生まれ。

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